こちらは70万円! 148万円のコスモスポーツと同じ10Aを搭載! マツダがRE車普及の勝負をかけて世に送り出した俊足クーペ|1971年式マツダ ファミリア プレスト ロータリークーペ Vol.1

プレストシリーズになり、バッジやエンブレムのデザインが微妙に変更された。

       
マツダが世界に誇るロータリーエンジン(RE)。

1967年5月に発売されたコスモスポーツは、2ローターのRE搭載車としては世界初の量産車となった。車名から連想されるであろう、まるで宇宙船のような独特のフォルムを持つコスモスポーツは、RE専用車として設計、開発され、強烈な存在感を放っていた。148万円という車両価格は当時の庶民では手の届かないもので、REは特別なもの、レシプロエンジンとは違う別格のものという印象が広がり始めた。

 マツダは当然それを予想。REを量産して世界に普及させるためには、小型車クラスに搭載して、比較的安価で販売することが必須であると考え、同年10月に開催された第14回東京モーターショーで、マツダRX85というプロトタイプカーを展示した。それが後のファミリア・ロータリークーペで、68年7月に発売された。車両価格はコスモスポーツの半分以下の70万円で、ある意味マツダがRE車普及の勝負をかけて、世に送り出した1台だった。

 ファミリア・ロータリークーペのエンジンは、コスモスポーツと同じ10A型だったが、低速での扱いやすさを考慮して最高出力を10ps抑えて100psとし、最大トルクも若干向上させた。翌年1969年7月には4ドアセダンのファミリア・ロータリーSSを発売。外観は一見地味なセダンながら、格上のスポーツモデルを追い回すほどの高性能を持ち、居住性、使い勝手のいいファミリーカーとして受け入れられた。


RE搭載車のリーダーだったコスモスポーツがL10A(後期型はL10B)の型式を持つのに対して、ファミリア・ロータリークーペの型式はM10A。取材車両であるファミリア・プレスト・ロータリークーペもその型式を引き継ぐ。


リアクォーターウインドーの後端にはグレード名のGSのエンブレム。


純正スチールホイールに、タイヤは155/80R13のヨコハマS-208を装着する。ステンレス製ホイールリングは純正品。


トランク内に置かれるジャッキは、輸入車でよく見られる手回しのステッキタイプ。前後のバンパー奥にジャッキングポイントが設けられている。


コスモスポーツとよく似た大径のスピードメーター(左)とタコメーター(右)を正面に配置。インパネ中央の3連メーターは左から時計、電流&燃料計、油圧&水温計。


前席はヘッドレストが独立したセミ・バケットタイプシートを装着。スポーティーグレードのクーペGSでは、前席3点式シートベルトが標準装備だった。

71年式マツダ ファミリア・プレスト・ロータリークーペ GS(M10A)主要諸元
●全長3830mm
●全幅1480mm
●全高1345mm
●ホイールベース2260mm
●トレッド前/後1210/1190mm
●最低地上高160mm
●車両重量835kg
●乗車定員5名
●最高速度180km/h
●登坂能力tanθ0.65
●0→400m 16.4秒
●最小回転半径4.1m
●エンジン型式10A型
●エンジン種類2ローターロータリーエンジン
●総排気量491cc×2
●圧縮比9.4:1
●最高出力100ps/7000rpm
●最大トルク13.5kg-m/3500rpm
●変速機形式前進4段フルシンクロメッシュ
●変速比1速3.737/2速2.202/3速1.435/4速1.000/後退4.024
●最終減速比3.700
●ステアリング形式ボールナット式
●サスペンション前/後独立懸架コイルバネ/半楕円形板バネ
●ショックアブソーバー前後とも筒型両ぎきショックアブソーバー
●ブレーキ前/後ディスク/リーディング&トレーリング
●タイヤ前後とも155SR13
●発売当時価格66.8万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年12月号 Vol.154(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryotarow Shimizu/清水良太郎

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