下取りで入ってきたチェリーX-1に惚れ込み46年間かけてチューニングしてきたオーナー|1971年式 日産チェリーX-1 2ドア Vol.3

76度のハイカム、ビッグバルブを組み込み、キャブレターにFCR、特注のタコ足&マフラー装着したA14型改1.5L仕様のエンジン。

       
2ドアでは655kgという軽量なボディとSUツインキャブを装着した1200ccのA12型エンジンの組み合わせにより、最高速160km/h、0→400m加速17.3秒という、本格的なスポーツカーをしのぐ高性能ぶりを売りにしていたチェリーX-1。また、自慢のFF方式による車内空間も魅力で、車格を超えた広さと豪華装備も人気を後押しした。

 今回紹介するX‐1のオーナー竹口英三さんは当時、日産チェリー広島販売で働く18歳。下取りで入ってきた3年落ち、走行5万kmのX‐1を手に入れ今までずっと乗っているという。

 当時の日産チェリー広島のメカニック仲間ではやっていたチューニングやカスタムもあったらしく、現在もその当時の仕様が残されていたりする。

 今年で46年目となるX‐1だが、1993年に大がかりなレストアを行い、その後もチューンナップが続けられている。まず、ボディはレストア時に総剥離して全塗装。また、より軽量なボディを目指し、ボンネットはカーボン製、フロントフェンダーはFRP製を装着している。エンジンは、パワーアップのためにA14型改1.5Lとし、76度のハイカム、ビッグバルブを組み込み、キャブレターはFCRを採用、タコ足&マフラーは特注品を装着。また足回りはフロントに自作車高調を組み込んだ。

 この仕様で、メーター読みで200km/hを振り切り、タイヤ&ホイールを替えるだけで、サーキット走行からジムカーナ、長距離ドライブまでこなすという。46年かけてコツコツ仕上げられたX‐1は、タダモノではない。


「情熱的にトロピカルオレンジ」とカタログに記されているチェリーX-1のイメージカラー。1993年にレストアした際も、忠実に再現。オプションの「鮮烈なアクセントストライプ」も見事に復元されている。


トランクの赤い「X-1」エンブレムが、ホットモデルをアピールしている。


「個性的なカプセルシェイプ」のスタイルのほか、三角窓がない精悍な“眼”のイメージの「魅惑的なアイラインウインドー」、「美しいうねりを見せるサイドのウェイブライン」などがカタログに記されたチェリーの魅力。


車内には4点式ロールバーを装備。運手席は当時物のダッツンバケットシートに交換されているが、助手席側に運転席用の純正シートが装着されていた。当時のチェリー広島ではやったらしく、運転席から助手席を素早くリクライニングするための工夫だそうだ。



ステンレスマフラーは特注のφ60mmを装着。



前期型X-1は、横置きエンジンの助手席側にファンが装着されていて、ラジエーターからの熱気は、左フェンダーのアウトレットから排出される設計だった。竹口さんは、後期型と同じラジエーターに電装ファンを装着。アウトレットからは、自作の車高調も見えている。


ダッシュパネル右側のヘッドライトスイッチ下には燃圧計を追加。足元には点火用のMDIを設置。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryotarow Shimizu/清水良太郎

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