「情熱的にトロピカルオレンジ」当時のチューニングが残る往年のホットFFスポーツ|1971年式 日産チェリーX-1 2ドア Vol.2

個性的なカプセルシェイプのスタイルと、655kgという軽量ボディに、サニーと同じA12型エンジンを搭載したホットモデルのチェリーX-1。

       
サニーと同じA12型エンジンを搭載したホットモデルのチェリーX-1。

 71年には2ドアクーペが発売され、73年にオーバーフェンダー付きのクーペ1200X‐1Rが登場。日産ワークスによるレースでの活躍もあって、若者から絶大な支持を集めた。

 今回紹介するX‐1のオーナー竹口英三さんもX‐1Rに憧れた1人。

「X-1Rが欲しかったけれど、当時は高くて買えなかった。そこで、次に軽くてパワーのあるX‐1の2ドアセダンを買ったんです」と当時を思い出しながら語ってくれた。当時の竹口さんは、日産チェリー広島販売で働く18歳。下取りで入ってきた3年落ち、走行5万kmのX‐1を手に入れたのだ。

 レースで活躍していたチェリーには、スポーツオプションのパーツも豊富に用意されていた。そういう部品を手に入れて、自分のX‐1をチューンナップしたいところだが、新品のパーツは高価で、なかなか手が出せない。

「社内でもチェリーに乗っている先輩が何人かいて、チェリーを売る時とかに声をかけてくれたんです。そういう時は、仕事が終わった夜、ピットに自分のと先輩のクルマを並べて、あっちからこっちへ部品の入れ替えを徹夜でやったりしてました。朝までかかって作業して、家に帰ってそのまま出社することもありました」と竹口さん。また、当時の日産チェリー広島のメカニック仲間ではやっていたチューニングやカスタムもあったらしく、現在もその当時の仕様が残されていたりする。


「情熱的にトロピカルオレンジ」とカタログに記されているチェリーX-1のイメージカラー。93年にレストアした際も、忠実に再現。



純正のラジオを取り外し、油温計と油圧計を追加。タコメーターは1万回転まで刻まれた大森製に交換。レブリミットの設定も可能だ。


トランクの中には、エンジンルームから移設したバッテリー、キャブレターに適切な燃料を送るための電磁ポンプ、エアの吸い込みを防止するための燃料コレクタータンク、適正な燃圧に調整するためのレギュレーター、そしてリア回りの剛性アップのために自作したタワーバーなどが設置されている。




特注タコ足は、熱対策でバンテージを巻いている。


運転席の右下、サイドステップとの間に、キルスイッチと燃料ポンプのスイッチが増設されていた。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryotarow Shimizu/清水良太郎

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