「様々な人の協力があって完成しました」豊富な知識とネットワークで仕上げられた希少車|1964年の東京オリンピックで使われたグロリアDX Vol.4

       
「プリンスガレージかとり」代表である香取孝さんが手に入れ、レストアして仕上げた東京オリンピックで使用されたグロリア・デラックス。
 自身がプリンス車と日産車の根っからファンであり、その豊富な知識とネットワークを駆使しレストアをしたおかげで凄く綺麗に仕上がっている。

 例えばウエストラインをぐるりと縁取るモールはS40グロリアを美しく見せる最大のポイントだが、その仕上げにも目を見張る。車内に目を移せば、内張り(天張り)は新品のものが張られ、高級感も健在だ。

「面白いのは内張りには38725とか38724という数字が記してあり、ステアリングシャフトの上部にも38812という数字がタンポ(タンポ印刷)で入れられているんですよ。おそらく昭和38年7月24日とか、8月12日という意味なのでしょうが、これをわれわれは『クルマの誕生日』と見ています。本当の初度登録年月はオーナーが次々と変わると、車検証からも消えて分からなくなってしまうことが多いのですが、これを見れば製造された時期がほぼ確定できます」

 取材時点で54歳のS40グロリア・デラックスだが、G2型エンジンはキャブのオーバーホールとフューエルラインのリニューアル程度で元気に回り、輝くバンパーとグリル、そしてステンレスのモール類が誇らしげに光る。

「エンブレムや内張りはリズム商會の河野さんが用意してくれましたし、足りないパーツ類はバラクーダの飯田さんが調達してくれました。加えてこれだけきれいに仕上げてくれた板金屋さん、苦労してガラスをはめてくれたガラス屋さん、天張りを張ってくれたシート屋さんなど、多くの方の協力があって形にできたことを感謝しています」

また東京オリンピックについてたずねるとこう一言。

「お役にたてるなら、いつでもこのグロリアを提供するつもりです」

 ヒストリックカーショーの会場以外でも、ひょっとしたらこのS40グロリアに出合う機会が訪れるかもしれない。


ソリッドの水色のボディカラーはオリンピック協賛車両の専用色であったと思われる。



エンブレムも綺麗に輝いている。


1.9L水冷直列4気筒OHV、91psのスペックを持つプリンスG2型エンジンは、キャブレターのオーバーホールおよびフューエルラインのリフレッシュ程度で十分走れるようになった。


トランクルーム内には車載工具、ジャッキ、車輪止めなどが当時のまま積まれている。他にも当時物が多数積み込まれていた。


車台番号もはっきり読み取れるネームプレート。


「プリンスガレージかとり」には今回の東京オリンピックで使用されたグロリアDXのように、マニアもあっと驚くような希少車が入庫することも多い。その情報が発せられるホームページやブログは、要チェックだといえる。興味のある人は、ぜひ訪ねてみてほしい。


初出:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Takashi Akamatu/赤松 孝

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