出合いは奇跡!? 知人が持っていた五輪使用車の証明書と中古車屋に並んでいたクルマが一致!|1964年の東京オリンピックで使われたグロリアDX Vol.2

       
「プリンスガレージかとり」代表である香取孝さんが手に入れ、レストアして仕上げたのもそのデラックスの1台だ。

「このクルマは21年ほど前に手に入れて、北京オリンピックまでにレストアしようと考えていたのですが間に合わず、ロンドンオリンピックの年に、やっと仕上げることができました。以前、同じような東京オリンピック使用車のグロリアを扱ったことがありましたが、そのときもオリンピックマニアと思われる人から、ずいぶん問い合わせがありましたよ」

 今回、レストアしたグロリアに関しては面白いエピソードがある。香取さんは以前から、知人が東京オリンピック使用車の証明書や公認ステッカーなどを持っていることを知っていたが、数年前、仕事帰りに寄った店で中古車として売りに出ていたこのS40グロリアと対面。車台番号を調べてみると、その証明書に記されている車台番号と一致。急いで手に入れたという。

「このソリッドの水色はオリンピック使用車だけで使われたことは知っていましたし、程度もバンパーとロワグリルはサビていましたがそれほど悪くはなかったですね。このクルマ自体は以前東京にあって、オーナーが手離すときに証明書やバッジなどを友人に託したのですが、その友人が僕の知り合いだったというわけです。それからクルマは東京を離れていったようですが、それを僕が偶然見つけんですね。車台番号の記入されている証明書と離ればなれになったクルマが、またここで出合ったわけです。でも、長年クルマを扱っていると、こういった縁というか、巡り合わせで欲しいクルマに出合うことがときどきあるんですよ」

 香取さん自身もS40系グロリアにはそれなりの思い入れがあるだけにこのような出合いをしたのかもしれない。


東京オリンピックでの協賛車両であることを証明する書類が残っている。これに当時の登録番号(ナンバー)と車台番号が記載されており、それが個体のルーツを知る決め手となった。これは東京オリンピック大会組織委員会が交付した正式な書類だ。


エンブレムも綺麗にレストアされている。


当時の姿を再現するにあたり、ボディに貼られていたステッカーは実物をベースにレプリカを作製。ボンネット中央と、左右のドアに貼ってある。(画像はボンネットの物)


アンテナポールに掲げられた布製フラッグも当時のもの。


妙に立派なスペアタイヤカバーが付くが、ここはオリジナルの塗色のままだった。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

全ての画像を見る

1964年の東京オリンピックで使われたグロリアDX記事一覧(全4記事)

関連記事:グロリア記事一覧

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Takashi Akamatu/赤松 孝

RECOMMENDED

RELATED

RANKING