現役で働く商用車 心機一転! 左官屋で働くボンネット型トラック 3

トヨタのピックアップトラック、スタウト。現役で左官の仕事に活用されている。

66年式 トヨペット スタウト1900

 駐車場に止めていると、渡辺智之さんのクルマの周りには、いつも決まって人だかりができ。そして同じようにこんな質問を投げかけられる。「どこの国のトラックですか?」と。このクルマは、40年前の日本ではよく見かけられたトヨタのトラック、スタウトだ。

 四角く簡素なカタチは、確かに現代の日本車にはない雰囲気を持つ。また、全体的に直線基調で無駄のないデザインは荷台も広く感じさせる。その荷台の上には左官屋である渡辺さんの仕事道具である、セメントやたたき固める機械などが積載。

 昔の左官屋さんの雰囲気そのままだが、当時と違うのは、道具が進化していること。

 左官の作業は今も昔も変わらず職人の腕がものを言う。

 オーナーの渡辺さんがこのクルマを目にしたのは21年前。仕事で通る道沿いの中古車店だった。自分の記憶にあるスタウトではなかったが、その重厚なボディにひと目惚ぼれ。ちょうどその時期は、父親の下で左官の仕事につき、1人前になった頃で、自分の仕事用のクルマを探していた。しかしそのクルマには価格表示がなく、店に行って価格を聞いても「売らない」の一点張り。何度も追い返され続けていたが、ついに店主が根負け。渡辺さんの手元へとやってきたのだった。

 もともと仕事用として購入し、ハードに使用されていたこのクルマは、徐々にヤレはじめてきていた。とりあえず気になるところだけでもと、旧車専門店オートサークルに足を運び、ウエザーストリップ交換とドアのチリ合わせ、それと小キズの処理も……と言っているうちに修理個所がどんどん増えていくことに。今後も長く乗り続けるつもりだった渡辺さんは、いっそう全部やってしまおうと考え、レストアを敢行。ついでに色あせてきたボディのオールペンまで行った。

 キレイになったクルマで仕事もはかどるようになったと思いきや、作業現場で職人たちが美しくなったボディにキズを付けまいと気を使うようになり、全体の作業効率が落ちてしまったとのこと。やはり現場のトラックは多少汚いほうがいいと、反省しきりな渡辺さんであった。

スタウトと作業風景
左官仕事

OWNER
渡辺智之さん(群馬県)
スタウトのオーナー渡辺さん
「このクルマは長野オリンピック会場造りでも活躍。今後もいろいろな思い出を作ってくれると思うので大事にしたいです」


ノスタルジックヒーロー 2013年2月号(Vol.155)掲載

photo:Isao Yatsui/谷井功 Cooperation:オートサークル

RECOMMENDED