婚約中に個人売買で購入したクラウンは、全国に数台しかない貴重な個体!|67年式 トヨタ クラウン・エイト Vol.3

       
「一番気に入っているところ? それは幅が広くてカッコイイところですよ」
 1967年式のトヨタ クラウン・エイトのオーナー、浅井邦光さんは、よくぞ聞いてくれたという感じで、にっこりとほほ笑んだ。

当時の純正色シャーウッド・オリーブ・メタリックの取材車両は、浅井さんにとって3台目のエイトになる。20歳で名古屋トヨペットのメカニックだった時、下取り車として入ってきたエイトを購入。この1台目は自動車税が高くて持ちきれなくなり、半年ほどで手放した。2台目が22歳の時。こちらは部品取り車として、現在も手元に置いてある。そして今の3台目だ。

「31歳の時、婚約中に買いました。エイトのことはずっと好きで、自宅から2kmほどのところに1台あるのを知っていて、譲っていただけないかと交渉しました。前のオーナーが11年11カ月と3週間乗って、車検を受ける期間だけ残して私に譲ってくれました」

 1年車検になるのを機会に浅井さんの手元に来たエイトを愛する浅井さん。取材の最中には前オーナーから引き継いだ時の心温まる思い出を語ってくれた。

「前のオーナーの方との売買契約で、婚約中だった家内と一緒に大邸宅にうかがうと、とても祝福してくださいました。クルマを洗車して、ガソリンも満タンで引き渡していただき、感激したことを今もよく覚えています」

 心のこもった譲渡式であったことは、名古屋3のシングルナンバーを、今なお引き継いでいることからもうかがえる。

 クラウン・エイトは前期型と後期型に分けられるが、実はそれぞれにさらに細かな仕様の違いがある。浅井さんの愛車は「後期型の後期」。ワイパーアームがダブルリンクになっているなど、いくつかの特徴がある。ナンバー付き車検ありの実動車は数台とのことで、今やとても貴重な個体なのだ。



リクライニング機構が付いたベンチシート。前席の座面を前に引き出し、背を倒すと全面フラットになる。なお、前席は張り替え済み。



ウインカースイッチはホーンリングに仕込まれている。


ダブルリンクのワイパーアームは、後期型の後期だけの装備。


リアフェンダーに着くエンブレム。


実は幅を広げるためにパネルが切り接ぎしてある。バルクヘッドも、よく見ると中央は左右とは別のパネルになっている。


「後期型の後期のエイトは、私のクルマ以外にまだ見たことがありません」と浅井さん。もし他に現存しているようであれば、ノスタルジックヒーロー編集部にご一報を。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Kazuhisa Masuda/益田和久

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