「ラリーの日産」の看板を背負い、NAキャブ、FRで果敢に挑んだ世界|WRCの舞台で戦うために生産された「50台」の日産240RS Vol.3

競技を前提にしているため、メーターパネルはいたってシンプル。左から、水温計、燃料計、油温計、速度計、ウインカーインジケーター、油圧警告灯、チャージランプ、回転計、電圧計が埋め込まれている。しかも、さらにメーターやスイッチ、パイロットランプなどを追加できるように、あらかじめスペースが設けられている。

       
WRCの舞台で戦うために、1982年に登場した240RS。

 エンジンはアルミ製の鍛造ピストンやクランクシャフトを組み込んだ2340ccのFJ24型DOHC4バルブだ。これにオーソドックスな三国製ソレックス50PHHキャブを2連装し、240ps/24.0kg‐mを絞り出す。トランスミッションはヒューランドパターンの5速MTを組み合わせる。

 ところが、240RSを待ちかまえるライバルたちは、ターボやインジェクション、ミッドシップ、4WDなどの最新テクノロジーで武装したモンスターマシンとなっており、240RSは時代遅れのマシンになりつつあった。それでも、「ラリーの日産」の期待を背負ってWRCに挑んだ。

 83年のニュージーランドで2位を獲得するが、残念ながら優勝することなく第一線を退いた。


ラリーの日産の期待を背負った240RS。




香港ラリーに出場した際に取り付けられたプレート。



トランクは軽量なFRP製となり、控えめなスポイラーが一体成形されている。競技中にトランクが開いたりしないように、ラバーフックで固定してある。


貴重な日産純正のマッドフラップを前後に装備する。サイズやカラーリングも数種類用意されていたようだ。


以前のオーナーがこの240RSでラリーに参加していたため、屋根には競技用の無線アンテナが追加されている。




この個体は山崎自動車によって、エアコンとパワステが追加されたため、手前下にエアコンのコンプレッサー、奥の上にパワステのポンプが装着され、ベルトの取り回しも変更されている。

掲載:ハチマルヒーロー 2011年 05月号 vol.15(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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