200台の開発コード「831」。そのうち50台だけに施された仕様とは?|WRCの舞台で戦うために生産された50台の日産240RS Vol.2

即実戦に参戦できる装備となっているため、フロントガラス以外は、ポリカーボネートが採用され、各部に補強が追加されている。にもかかわらず、1トンを切る970kgという軽量な車両重量を実現している。

       

 WRCの舞台で戦うために、1982年に登場した240RSの開発は81年から始まり、開発コード「831」を名乗った。

 82年には公認ヘッドを組み込んだLZ20B型直列4気筒DOHC4バルブエンジンを積むグループ4仕様のシルビアがラリーに挑んだ。このテスト参戦したラリーカーは、量産型の240RSよりオーバーフェンダーが小ぶりだった。

 82年10月、筑波サーキットで正式発表され、そこでジャーナリスト向けの試乗会を催している。

グループBのホモロゲーションを取得するために200台が生産され、150台が左ハンドル、50台が右ハンドル仕様として生産された。ここで紹介する日産トリコロールカラーをまとった240RSは、その50台の内の貴重な1台だ。


FJ20型DOHC4バルブのボアを3mm、ストロークを8mm延ばしたFJ24型エンジン。高回転で威力を発揮する。右ハンドル車のため、ステアリングシャフトがキャブレターの下に通り、スロットルケーブルの取り回しなどが異なる。また、この240RSは、山崎自動車によってエアコンとパワステが追加されているため、ノーマルのエンジンルームと取り回しなどが異なっている。



純正のφ42.4mmステンレス製タコ足には、振動などで割れないように補強が入れられている。ワークスでは、さらに太い口径のタコ足が使われていた。



US110シルビアをベースに、前後に角形のオーバーフェンダーがビス留めされ、スパルタンなスタイルに仕上げられている。


競技を前提にしているため、メーターパネルはいたってシンプル。左から、水温計、燃料計、油温計、速度計、ウインカーインジケーター、油圧警告灯、チャージランプ、回転計、電圧計が埋め込まれている。しかも、さらにメーターやスイッチ、パイロットランプなどを追加できるように、あらかじめスペースが設けられている。


フロアには防音、防振のマットなどは敷かれておらず、エンジンやミッションのノイズ、路面の砂利がフロアに当たる音まで、車内に響く。



蛇腹ダクトは、追加したエアコンの送付口。メーターパネルの下に、エアコンのスイッチパネルが装着されている。


シートは運転席&助手席ともバケットシートに変更されている。標準では、シルビア2000RSと同じシートが装備された。

ハチマルヒーロー 2019年 05月号 vol.53(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)



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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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