「先日、ついに息子にタイムを抜かれました」駆け抜ける父と子のベレット|72年式 いすゞ ベレット 1600 GTR Vol.1

       
「先日、ついに息子にタイムを抜かれました」とベレットのオーナー総一郎さん。淡々と話す日下さんだが、その悔しさが伝わってくる。

 ヒストリックカーでのレース活動を趣味としている人は多いが、親子でお互いが競うようにレース活動するのはまれだろう。

実は取材したベレットは2代目。最初のベレットは中山サーキットのバックストレート奥のコーナーで、壁に激突し、大破させている。

以前は国内GPなどのバイクレースが開催された中山サーキットだが、クルマやバイクの年ごとの性能アップに対し、コース内の安全性確保に努力しているが、現状ではセーフティーエリアも小さい。

2.007kmしかないコースだが、山の斜面を利用したコースは難易度が高く、複合型ヘアピンカーブも多い。また、バックストレート奥のコーナーはオイルがこぼれていることもあり滑りやすいのだ。


 ひとつ間違えたら、クルマを破損する可能性の高いサーキットだが、ここは日下さんにとってのホームコース。出場している仲間内でのレースが開催されるコースであり、クルマを仕上げるために走り込むコースでもある。


 クルマが大破したからといってレース活動を中止するわけではなく、すぐさま2代目の製作に向けて新しいベレットを探した。そこで見つかったのが現在のベレット1800GTのボディだ。



リアランプ、トランクのヒンジも同様に変更。マフラーはワンオフで製作。ボディカラーは英国製プラカラー「ハンブロール」と同色に。



ワイパーの根元を覆うように装着されたディフューザー。



ミクニソレックスφ44mmキャブレターを装着。



さまざまなクルマに乗り継いでいるため、いつどこで入手したか不明なレザー本革製バケット。もちろん5点式シートベルトを装備。



リアトランク内には、45LのATLガソリンタンクを装備。

72年式ベレット1600GTR主要72年式ベレット1600GTR主要諸元
ボディ
●フロント&エプロン、ライト、グリル、ワイパー位置、トランクヒンジ、テールランプ、マーカーランプは全て67年式に変更/
エンジン
●いすゞスポーツコーナー製作ブロック、ベレット1800のコンロッド、アールズオイルクーラー、ドラッグレース用MSD、ソレックスφ44mm、チェックワンオフのエキマニ&マフラー、カム、ピストン、オイルキャッチタンク、1.5Lコレクタータンク、ATL45ℓガソリンタンク/
足回り
●いすゞスポーツキットショック&リアリーフ、チェックワンオフのコイルスプリング、117クーペXE用5速ミッション+ルート6ジェミニラリー用クロスミッション(ファイナルはベレットセダン用4.1)、4ピニオンLSD
コクピット
●モモステアリングプロトφ35cm、タコ&油圧&油温メーターは発売当時の機械式、シンプソンシートベルト、レザー本革製バケット、ワンオフのシフトレバー&フットペダル/
ホイール
●ブリヂストンスーパーRAP 6J×14インチ。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Minai Hirotaka/南井浩孝

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