左ハンドルもあった! かつてアメリカに輸出されたミゼットが日本に里帰り|歴代ミゼットのガレージ Vol.4

       
ガレージに6台ものミゼットを持つオーナーがレストアしたミゼットMPA。


 そのオーナー山口さんがミゼットと深く関わるようになったのは、山口さんがクルマの運転免許を取得し、社会人になってしばらくした頃。

よくクルマで通っていた県道の道端に、ミゼットMP5の後期型が置いてあった。その寂しそうにしている姿がとても気になり、所有者を探して譲ってもらうことにした。


「それが25年くらい前の話で、家に持ってきて修理を始めましたが、なかなかうまくいかない。自分でバラバラにしたところで結局諦めて、近所のクルマ屋さんに後は任せました(笑)」


 そうして直ってきたミゼットで、地元近くの旧車イベントに参加。そこで他のミゼットオーナーたちと知り合うことができて、山口さんもミゼットを集め始めることになるのだ。

 その真骨頂とも言うべき出来事が、写真のミゼットMPAの輸入だった。59年4月から、ダイハツが輸出用左ハンドルの仕様で生産を開始したのが、MPAだった。2006年12月、ネットオークションを通じて、アメリカのカリフォルニア州のクルマ屋から、部品取り車と合わせて2台のMPAを購入し、レストアを始めたのだ。


バーハンドルのミゼットDK&DSの次世代モデルとして、初の丸ハンドル仕様ミゼットとしてデビューしたMPA。輸出用として大阪で生まれ、アメリカでは小さくて小回りが利くピックアップとして、ピザの配達などで重宝がられた。この個体は2007年に日本に里帰りしたものだ。



全長2685mm、全幅1296mm、全高1510mmの車体寸法は、現代の軽自動車(3400mm×1480mm×2000mm以下)と比べてもかなり小ぶりだ。ミゼットMPの最初のモデルということで、荷箱も歴代で一番小さい。



燃料キャップは、カタカナ表記の「ミゼット」だった。



車内中央の点検用カバーを外すと、ご覧のようにエンジンが出現する。右の助手席クッションを外すと、その下にバッテリーがある。



エンジン右脇のパネルには、ドレンコック用の専用窓が付く。



車台番号の刻印は、エンジン左側のフレームにある。



現在の姿からは想像できないが、この写真が、アメリカからコンテナで送られて来た直後の状態。荷箱は付いていないし、車内の状態もとてもひどかった。


アメリカ、アリゾナ州にあった当時の所有証明書。商用車としてアメリカで使命を全うしたミゼットMPAも、ここまできれいにしてもらい感謝しているはずだ。



59年式ダイハツ ミゼット(MPA)主要諸元
●全長2685mm
●全幅1296mm
●全高1510mm
●ホイールベース1740mm
●トレッド後1122mm
●最低地上高140mm
●荷箱長960mm
●荷箱幅1100mm
●荷箱高425mm
●積載量300kg
●乗車定員2名
●最小回転半径2.5m
●エンジン型式ZAB型
●エンジン種類強制空冷2サイクル単気筒
●総排気量249cc
●ボア×ストローク65×75mm
●圧縮比6.2:1
●最高出力10ps/4500rpm
●変速段階前進3段・後進1段
●燃料供給方式ポンプ圧送式
●潤滑方式混合潤滑式●
始動方式ダイナスターター式
●クラッチ乾燥半板式
●トランスミッション選択揺動歯車式
●燃料タンク容量15L
●リアアクスル半浮動式
●ブレーキ機械式内拡型
●タイヤ前/後5.00-9-4P/5.00-9-6P
●発売当時価格 国内未発売・不明


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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