【平成ミニバン白書 1-2】エンジンが寝てる!? 前から後ろまでぜーんぶフラットなフロアになったワケ|初代 トヨタ エスティマ 4WD ツインムーンルーフ Vol.2

助手席側も独特なデザインで、まるでSF映画に出てきそうなほど近未来的。グローブボックスは上開き。

       
1ボックスワゴンの「使う楽しさ」とスポーティーカーのような「走る楽しさ」を妥協せずに両立することを目指したトヨタ エスティマ。

 そして、ミッドシップを可能にしたエンジンは2.4L直列4気筒の2TZ型で、エスティマのために開発。他車種に搭載されることはなかったので、専用エンジンでもある。このエンジンを床下に収めるためのポイントは2つ。まずひとつ目は、補機類をすべて分離してボンネット下に収めること。これにより床下にはエンジン単体を配置すればよくなった。もうひとつが搭載方法で、75度も傾斜(寝かせる)させている。その結果、搭載時のエンジンの高さはわずか440mmに。これで床下に収まり、さらにフラットな床も実現したのだ。

 この床下ミッドシップ構想の実現(生産)に見通しが立った84年頃、アメリカ・カリフォルニアにあるトヨタのデザインスタジオ「キャルティ」は早くもデザインに取りかかる。じつは、このレイアウトはデザインの自由度も高めている。というのも、ボンネットはいらないし、キャブオーバーのような運転席の高さも必要ない。圧倒的に制約が少ないのだ。その結果、広くユーティリティー性に優れた室内空間を確保しながらも、これまでに見たこともない斬新なタマゴフォルムが生み出された。



ここ30年、40年の国産車でこれほど独創的なクルマは他にはないだろう。



ウォッシャーノズル内蔵のワイパー。これによりボンネットにノズルの突起がなくなり、ツルンとしたフォルムを一段と際立たせている。ワイパーは対向式の通称「ケンカワイパー」。



タイヤサイズは215/65R15。装着しているアルミホイールは純正標準装備品。


シートレイアウトは2-2-3の7人乗りで、2列目はセパレートのキャプテンシート。アームレスト付きで快適な座り心地。フラットフロアの実現により、1〜3列目までウオークスルーが可能だ。



エクステリアに引けを取らない斬新なインパネ。もともとはオーソドックスなデザインだったが、土壇場でひっくり返し、このデザインになったそうだ。


だ円のメーターはエスティマに合ったデザイン。



ハチマルヒーロー 2019年 05月号 vol.53(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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