現役で働く商用車「落花生屋ではありません!」 リフォーム屋で働くプリンス時代のトラック 2

荷台の横にはでかでかと「落花生問屋」の文字が

68年式 プリンス クリッパー低床


 このプリンスクリッパーは新車登録時から茨城の落花生屋さんが32年間仕事で使っていたもの。それを譲り受けた方が約10年にわたって保管し続けた実質ワンオーナーカーで総走行距離3万3000㎞の逸品。しかも、高床式のトラックが主流だった時代だけに、低床式のモデルは生産台数が少なく、当時から珍しい存在だったらしい。

 その荷台を仕事で有効に使うようになったのは、旧車に乗って仕事をするという、自分なりの夢を実現させたかったからだそうだ。実際の仕事ぶりだが、自宅から仕事場まで片道約30㎞程度の距離を走る。傷みの目立つ荷台にも保護用の板などを敷かず、そのまま洗面台や工具を積んで現場に向かうという。

「パワステもなく、ブレーキも4輪ドラムですが、慣れれば苦にはなりません。逆にブレーキを早めに踏むので、安全運転になっているほどです。燃費は1ℓあたり7㎞と十分。高速道路での走行も3代目クリッパーの5速ミッションに載せ替えているので、80㎞/h巡航が可能です。窓やベンチレーターを開けると結構涼しいので、クーラーがないのは気になりませんが、ヒーターがないので冬は辛いですね。車内の気温がマイナス12℃まで下がり、自分の吐く息で窓ガラスの内側が凍ってしまったこともあります(笑)」


プリンスクリッパーの方向指示器
安全性向上のため、当時ボンネットバスで使われていた矢印形方向指示器、バックブザー、ハザードなどを後付けしている。

プリンスクリッパーのホイールとタイヤ
純正のプラスチック製キャップは、撮影用に特別に付けているが、実際、仕事中は日産ジュニア用のスチール製キャップを装着する。
タイヤはフロントにヨコハマの7.00-15、リアにBSの7.50-15を履く。


プリンスクリッパーのアオリ
ボディカラーはアラスカブルー。ツヤがなくサビもあるが、逆にこの枯れた味がたまらない。


プリンスクリッパーの荷台
荷台はサビが多いものの、腐りはない。だからこそリフォーム業の激務にも耐えられるのだ。


プリンスクリッパーのオーナー

OWNER
杉浦淳一さん(千葉県)
杉浦さんは免許を取ってからキャラバン、クリッパーと、キャブオーバー車ばかり乗り継いでいる。前回の車検は、自分の手で行ったそうだ。



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ノスタルジックヒーロー 2013年2月号(Vol.155)掲載

photo: Akio Hirano/平野 陽

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