現役で働く商用車「落花生屋ではありません!」 リフォーム屋で働くプリンス時代のトラック 1|1968年式 プリンス クリッパー低床

荷台を保護するマットなどを敷かず、ムキ出しの荷台にガンガン荷物を積む。「大事」にはするが、決して「過保護」にはしないのだ。

68年式 プリンス クリッパー低床


 自宅のキッチンやガス台をリフォームする日。家の前に止まったリフォーム屋さんのクルマが、なぜか「落花生問屋」と書かれた古い、あまりにも古いトラックだったとしたら……。

「このクルマを見たお客さんの反応は、『何で落花生屋さんが来たの? と驚く』、『キョトンとしたまま』、『無反応』、『すごく興味を持って、リフォームそっちのけでクルマの話になる』、この4パターンのどれかになりますね(笑)」そう話す杉浦淳一さんは2011年の、あの大震災を機に仕事を変え、新たに就いた住宅リフォームの仕事で、68年式のクリッパーを使っている。
 
 彼がクリッパーを手に入れたのは2年前のこと。プリンスとワンボックスの旧車が好きで、10年前から初代キャラバン(E20)に乗っていたのだが、不運な事故に遭い、大切なキャラバンを全損にしてしまった。「これでもう、大好きな旧車に乗れない……」。そんな杉浦さんのガッカリした姿をみて、キャラバンを販売した埼玉のショップ「バラクーダ」の飯田浩士さんが「よかったら、これに乗らない?」と、勧めてくれたのがクリッパーとの出合いだ。


プリンス・クリッパーのリアビュー

66年8月にプリンスと日産が合併したため、レンズなど両社の他車用パーツがあちこちで使われていて、実に歴史を感じさせる。
また、当時のトラックは高床3方開が中心であったため、低床1方開のタイプは珍しい。

プリンス・クリッパーに荷物を積む
プリンスクリッパーのフロントグリル

十字形のグリルはクリッパーへの親しみを込めて「プロペラグリル」と呼ばれているが、本当は光の輝き具合をモチーフにしているとのこと。
新車当時の「茨4」1桁ナンバーも継続中だ。



■68年式 プリンス クリッパー低床(T655L-1)
●全長4685mm●全幅1690mm●全高1990mm●ホイールベース2350mm●トレッド前/後1400mm/1400mm●最低地上高190mm●荷室長3140mm●荷室幅1590mm●荷室高405mm●車両重量1500kg●乗車定員3名●最高速度110km/h●登坂能力sinθ0.377●最小回転半径5.0m●エンジン型式H20●エンジン種類水冷直列4気筒OHV●総排気量1982cc●ボア×ストローク87.2×83mm●圧縮比8.2●最高出力92ps/4800rpm●最大トルク16kg-m/3200rpm●変速比1速5.429/2速3.048/3速1.780/4速1.000/後退6.544●最終減速比6.833●燃料タンク容量50リットル●ステアリング形式ウオームアンドローラー●サスペンション前後とも半楕円リーフ●ブレーキ前後ともデュオサーボ●タイヤ前/後7.50-15-8PRLT/7.50-15-12PRLT●発売当時価格73.8万円


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ノスタルジックヒーロー 2013年2月号(Vol.155)掲載

photo: Akio Hirano/平野 陽

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