「ボディは床が抜けて錆びだらけでした」こつこつと8年かけて自宅でレストアしたヨタハチ|65年式トヨタスポーツ800 Vol.3

       

かつて筆者はトヨタスポーツ800に乗ったことがあるが、箱根の乙女峠を走ったときは愉しかったし、深夜の首都高速でAE86レビンとバトルしたのもいい思い出だ。
燃費もバツグンによかった。今の時代にも最適だ。もう一度、こんな痛快なライトウエイト・スポーツを発売してほしいと思う。

 小ぶりなボディを持つトヨタスポーツ800には、鮮やかな赤がよく似合う。取材車両のオーナーである沢浦弘明さんは、26年前にこのクルマを手に入れた。自宅の近所の人が所有していたもので、購入時にはエンジンが壊れ、床には穴が開き、塗装はカサカサ。クルマの状態はよくなかった。そこから沢浦さんは自分ひとりでこつこつとレストアを始めたのだ。

 完成までに約8年かかったが、ご覧のように見事な仕上がりで復活。なかでも圧巻なのは、FRPで自作した左右のフロントフェンダー。ベースとなるメス型から作ったそうで、趣味のレベルではない出来映えだ。

「前のオーナーは、いつか自分で直そうと思っていたようです。エンジンは壊れた状態で車体から降ろされていて、ボディは床が抜けて錆びだらけでした」

引き取ってから、さほど広くない自宅の物置でレストアを開始した。
エンジンは日産車のピストンを加工してオーバーホール。ボディは元の塗装を剥離して、板金も済ませてからオールペイントした。趣味なので期限が決まっているわけでもなく、ひとつひとつの作業を楽しみながら8年かけて完成させた。

 たまに奥さまと旧車イベントにも出かけているそうで、家族共々、旧車ライフを楽しんでいる。


取材車両は前期型で、68年3月からの後期型は、フロントグリルとリアナンバー灯などの意匠が異なる。


金属地のフェンダーミラーは、オーナーの好みでいすゞベレット用を装着している。



製造元の関東自動車工業のものも一緒に付く。

65年式トヨタスポーツ800(UP15)主要諸元
●全長3580mm
●全幅1465mm
●全高1175mm
●ホイールベース2000mm
●トレッド前/後1203/1160mm
●最低地上高175mm
●室内長785mm
●室内幅1250mm
●室内高965mm
●車両重量580kg
●乗車定員2名
●最高速度155km/h
●登坂能力sinθ0.464
●最小回転半径4.3m
●エンジン型式2U型
●エンジン種類空冷水平対向2気筒OHV
●総排気量790cc
●圧縮比9.0:1
●最高出力45ps/5400rpm
●最大トルク6.8kg-m/3800rpm
●変速比1速4.444/2速2.400/3速1.550/4速1.125/後退5.812
●最終減速比3.300
●燃料タンク容量30L
●ステアリング形式ウオーム&セクターローラー
●サスペンション前/後ダブルウイッシュボーン・トーションバーばね独立/平行半楕円非対称板ばね半浮動式
●ブレーキ前後ともリーディング・トレーリング
●タイヤ前後とも6.00-12
●発売当時価格59.2万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年4月号 Vol.150(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)



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text:Hideaki Kataoka / 片岡秀明 Photo:Satoshi Kamimura/神村 聖

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