航空機技術を駆使してデザインされていた、傑作ライトウエイト・スポーツ|65年式トヨタスポーツ800 Vol.1

       
1960年代のトヨタはスポーツカー王国だった。2シーターのキュートなスポーツカーを2車種もラインナップし、マニアをうれしがらせている。ひとつはベーシックファミリーカーのパブリカから発展したトヨタスポーツ800、もう1台がトヨタ2000GTだ。両車ともに60年代の傑作で、今も熱狂的なファンに愛されている。

 なかでも今の時代にも通用する高いエコ性能と空力性能を秘めているのが、65年春に正式発売されたトヨタスポーツ800だ。メカニカルコンポーネンツはパブリカ800のものを用い、一級のライトウエイト・スポーツカーに仕立てた。これが驚かされるところだ。制約が多いなかで、それを上手に克服し、今でも恋焦がれる、味のあるスポーツカーにしたのが凄い。

 エクステリアは、コンパクトサイズだが、強い存在感と個性を放っている。ロングノーズ、ファストバックの愛らしいフォルムだ。シンプルだが、フロントマスクは凛々しい。オーバルシェイプのボディは、航空機技術を駆使してデザインされていた。実際に高速走行してみると、軽自動車より軽いボディでありながら驚くほどの安定感を見せる。風切り音も小さい。



明るいアルミ地のメーターパネルが前期型のポイント。ステアリングはオーナーの好みで、MOMO製のφ350mmに交換してある。



ディタッチャブルトップを外すと、オープンエアーでのドライブも楽しめる。
遊び心も満載の、秀逸なライトウエイト・スポーツだ。



左右のフロントフェンダーは、オーナーが型から自作したFRP製のものを装着。言われなければ分からないほど、まったく遜色のない出来映えに感心する。



エンジンルーム内に付く型式プレート。



掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年4月号 Vol.150(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Hideaki Kataoka / 片岡秀明 Photo:Satoshi Kamimura/神村 聖

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