コスモスポーツって前期と後期で似ているけれど別モノなの!?|69年式マツダコスモスポーツ Vol.2

ボディカラーは純正色のレッド。当時生産されたほとんどがホワイトだったが、シルバー、ブルーなども存在していたという。

       
単室容積491ccの10A型2ローター・ロータリーは無類にスムーズだった。まさに電気モーターのように軽やかにタコメーターの針が跳ね上がる。

そして3500rpmからの加速もダイナミックだった。「走るというより飛ぶという感じ」、これはファミリアロータリークーペに使われたコピーだが、言い得て妙な表現である。


 痛快な加速はコスモスポーツの大きな魅力だ。レッドゾーンに軽々と飛び込み、オーバーレブを知らせる赤いランプが何度も点灯した。

これも初めての経験だったから鮮明に覚えている。

スポーツカー然としたインテリアも強く印象に残っている。たくさんのメーターが並んだインパネだけでなく、千鳥格子のコンビシートを選ぶなど、センスのよさにも引かれた。


 フットワークも軽快だったが、この業界に入ってきてステアリングを握ったとき、平凡なハンドリングと乗り味だったことを知った。

が、それでもコスモの魅力は色あせることがない。



 個人的に魅力を感じるのは、10A型ロータリーをパワーアップし、トランスミッションを5速MTとした後期モデル、L10B型だ。発売されたのは68年夏だった。デザインは前期型と酷似している。が、ホイールベースまでも変えた力作だ。しかも刺激的なロータリーフィーリングを存分に味わうことができ、操るのが楽しかった。


千鳥格子のコンビシートがコスモスポーツのインテリアの特徴。3点式シートベルトを標準装備していた。運転席は、オーナーの好みでサベルト・クラブマンの4点式を装着する。



フロントグリルの前には、当時物のハロゲンフォグランプを装着。ヘッドライトカバーは標準装備だった。



左のスピードメーターは、フルスケール240km/hまで表示。右のタコメーターは、7000rpmからレッドゾーンとなる。

69年式マツダコスモスポーツ(L10B)主要諸元
●全長4130mm
●全幅1590mm
●全高1165mm
●ホイールベース2350mm
●トレッド前/後1260/1250mm
●最低地上高125mm
●室内長870mm
●室内幅1300mm
●室内高990mm
●車両重量960kg
●乗車定員2名
●最高速度200km/h
●登坂能力sinθ0.553
●最小回転半径5.2m
●エンジン型式10A型
●エンジン種類2ローター・ロータリー
●総排気量491cc×2
●圧縮比9.4:1
●最高出力128ps/7000rpm
●最大トルク14.2kg-m/5000rpm
●変速比1速3.379/2速2.077/3速1.390/4速1.000/5速0.841/後退3.389
●最終減速比4.111
●燃料タンク容量57L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前/後独立懸架コイル/半楕円形板バネ
●ブレーキ前/後ディスク/リーディング・トレーリング
●タイヤ前後とも155HR15
●発売当時価格158万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年4月号 Vol.150(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Hideaki Kataoka / 片岡秀明 Photo:Satoshi Kamimura/神村 聖

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