5Lターボ「公称800psですが、それ以上にパワーが出ていました」【細谷四方洋 × 鮒子田 寛 4】世界の最先端を行く技術。トヨタ7でサーキットに旋風|N2dレジェンド・ドライバーズ トークショー Vol.4

       
トヨタ2000GTが市販に移されたころ、トヨタは本格的なレーシングカーの開発を始めている。そして登場したのがグループ7のレーシングカー、「トヨタ7」である。68年シーズンは3LのV型8気筒エンジンを積んでいた。翌69年には排気量を5Lにスケールアップし、ボディからシャシーまで新設計としたニュートヨタ7が登場。

 3Lのトヨタ7は、68年5月の日本グランプリでデビューを果たしたが、初期トラブルに泣かされ、いいところなく終わった。その後は耐久レースに積極的に出場し、走るたびに記録を塗り変え、上位を独占した。鮒子田は、

「日本グランプリでは、パンクでピットインしたときFRPのカウルが浮いたままピットアウトしてしまい、思うような走りができませんでした。ジャッキアップしたときに傷めたようです」

と、敗因を語っている。

 これに続いて開発されたのが、その当時、世界の最先端を行くメカニズムを採用した5Lのニュートヨタ7だ。

「このターボ仕様は、当時としては飛びぬけてパワフルでしたね。公称800psですが、それ以上にパワーが出ていました。このマシンは排気量無制限のカンナム出場も考えていたんです」と、細谷はその凄さを語っている。

 また、今、話題になっているトヨタ86は、細谷がレースで使っていたライトウエイトスポーツのトヨタスポーツ800の再来だと述べた。軽量でキビキビと走るクルマの気持ちよさは、今も昔も変わらない。そして2人は最後に、クルマは楽しい乗り物なのだから、それを楽しく、安全に乗ってほしい、と、ノスタルジックヒーローのファンにエールを送った。トークショーは、チームトヨタの2人にとって、熱かった40年前にタイムスリップした楽しいひとときだったようである。


谷田部でのスピードトライアルに使われたトヨタ2000GTのレプリカも展示。鮒子田にとってチーム・トヨタに入って最初の大仕事だった。トークショーで「怖かった」を連発したのが印象的。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年6月号 Vol.151(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text : Hideki Kataoka/片岡英明 photo : Motosuke Fujii/藤井元輔

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