56年前の4月、GTの名で初めて売られた国産車|64年式 いすゞ ベレット 1600 GT Vol.1

       

いすゞ自動車が、小型乗用車の自社による開発ならびに製造を中止したのは、今から19年前の1993年7月のことだった。商用車とSUVの製造、販売に集中するというのが中止決定の理由だった。いい乗用車をたくさん世に送り出してきたメーカーだったが、会社の決定はとても重いもの。当時、いすゞの乗用車を愛用していた人たちは、さぞかしがっかりしたことだろう。

 しかしながら歴史は途絶えたとしても、いすゞが造りだしたクルマたちは、今なお情の深いオーナーたちによって、大切に乗り継がれている。補修パーツの入手に苦労しても、いすゞ車を所有していることに誇りを持って、維持し続けているのだ。

 いすゞ車でGTとくれば、ベレット1600GTの話題に当然なる。64年4月、国産車の中で初めてグレード名にGTを冠して発売されたのが、ベレットだった。同時期にスカイラインGTが存在し、3月に発表されていたが、広く一般に売られたのはベレット1600GTのほうが先だった。



63年11月に初登場となったベレット4ドアセダン。1600GTはその5カ月後に発売された。ヘッドライトのナセルはセダンと共通だったが、中央のグリルは1600GTの専用パーツだったようだ。



中央には、49年7月に制定されたいすゞ自動車の初代の社章が取り付けられている。いすゞマニアもびっくりするほど貴重な仕様だとか。

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前席はヘッドレストがないビニールシートが標準。後席やドアの内張りも同じ素材で覆われていた。




中央右側の赤いパネルに、うっすら丸い跡が見えるだろうか。丸く開いた穴を後から埋めたような痕跡がある。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年6月号 Vol.151(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo: Kazuhisa Masuda/益田和久

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