アートとテクノロジーが融合した不朽の名車|70年式 トヨタ 2000 GT Vol.1

       
1960年代前半、トヨタは大衆車のパブリカから最上級モデルのトヨペット・クラウンまでラインナップし、日本を代表する自動車メーカーに君臨していた。ところが、ライバルの自動車メーカーに対して、レースなどで技術力をアピールし、イメージリーダー的存在となるスポーツモデルが存在していなかった。そこで、海外市場やレースで通用する性能を持った、本格的なスポーツカーの開発が企画された。

 64年11月、河野二郎をプロジェクトリーダーに、開発がスタート。選ばれた少数先鋭のエリートたちによって、ボディのデザインからシャシー、エンジン、サスペンションなど、世界に通用する一級レベルのスポーツカーとするべく、着々と開発が進められていった。

 トヨタが開発に着手したのと同じ時期、オートバイメーカーとして日本を代表するメーカーとなっていたヤマハは、日産と共同で高性能スポーツカーの開発を進めていた。ところが、その計画は日産の事情によって中止された。

 そこで、トヨタは新たにヤマハをパートナーとして迎え、2000GTの開発を進めることになった。開発にあたっては、採算を度外視して高級なメカニズムが随所に盛り込まれていた。



「ピアノの木目は美しい」ということから採用されたウッドパネルは、前期、後期型ともにローズウッド。ステアリングはマホガニー製で、ヤマハが材料から加工を担当。ステアリングポストは前後に60mm動かせるテレスコピック機構を持つ。


補助メーターは、左から燃料、油圧、油温、水温、電圧と並び、調子がいい状態では各メーターの針が水平を指すため、一目瞭然。



フェンダーミラーは後期型は黒塗り。前期型は外側半分がメッキだった。



夕陽の中、高速道路を快走するダークグリーンの後期型トヨタ2000GT。もともとのポテンシャルの高さもさることながら、取材した車両はメンテナンスが行き届き、エンジンはチューニングが施されていることもあって、現代のクルマと比較しても遜色のない走行性能を発揮。ステアリングを握った津々見友彦さんも、「今までに乗ったトヨタ2000GTの中でも、一番調子が良くて気持ちよく走れた!」と満面の笑みで語ってくれた。

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掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年6月号 Vol.151(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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