ハコスカのGT-Rは2000万円近い。じゃあGTは幾らくらいなの?|ハコスカの今とその歴史 Vol.1

       
旧車の中でも不動の人気No.1を誇るハコスカ。近年の旧車人気も相まってレースで活躍したGT-Rには2000万円近い値がついているのをご存じだろうか? クルマ好きにとって高嶺の花となってしまったハコスカだが、実は GT-R以外ならまだ庶民にも手が届く範囲にいる事を知る人は少ない。今回はそんなGT-R以外のハコスカを紹介しながら、中古車相場を見てみよう。


そもそもハコスカってどんなクルマ?


今のクルマにはない無骨なデザインとこのフロントの姿に憧れる人は多い。

 ハコスカとは、かつて日産が販売していた3代目のスカイラインを指す愛称だ。箱の様に角張ったデザインが特徴で、レースで活躍した2代目のS50系スカイラインを引き継ぐ形で開発された。レースで通算50勝を記録し、後にGT-R神話として語り継がれる事になったGT-Rが有名だ。そのため、ハコスカといえばGT-Rを連想する人が多いが、実は多くの車型やグレードが用意されていた。

 ベーシックな4気筒モデルのC10、L型6気筒エンジンを搭載したGC10。そして4バルブDOHCのS20型エンジンを搭載したGT-R(セダンがPGC10、2ドアハードトップはKPGC10)、そして今では旧車イベントなどでもほとんど見ることができない、ワゴンやバンも存在していた。
 
 サニーやブルーバードと並び、日産の主力車種の一つだったのだ。

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初めて世に出た3代目 C10


68年式 日産スカイライン 1500 スポーティ・デラックス。88psで痛快セダンを名乗るにふさわしいモデルだ。


 1968年8月1日。スカイラインの3代目となる4気筒1.5Lエンジンを搭載したC10スカイラインが発表された。このC10こそが一番はじめに発売されたハコスカだ。
外見的な特徴としてはフロント部分が短い事があげられるだろう。これは後に発表されるGC10が縦に長い直列6気筒を搭載したのに対し、C10は直列4気筒SOHCのG15型エンジンが搭載しているためだ。

 このG15型エンジンはプリンス自動車工業が開発した1.5Lのエンジンで、当時としてはクラス最強の88psを誇った。
こうした高性能エンジンに加え、快適な居住性や安全設計なども備えていたことから、スポーティ・ファミリーセダンと名乗るに相応しいモデルだったといえるだろう。

 プリンス自動車工業は、スカイラインやグロリアなどの人気車種を有した自動車メーカー。1960年代にはモータースポーツでも大いに活躍し、1966年8月に日産自動車と合併を果たしている。

GT-Rの原型になったGTセダン GC10


L20を積んだGC10。大きなL型エンジンを乗せるためにフロントが長い。上のC10の画像と比べるとフロントノーズが長いのがわかるだろうか?


 そんなC10スカイライン発表の2カ月後に発表されたのがこの2000GT(GC10)だ。

 日産が開発し、後に多くの人に愛された2.0L水冷直列6気筒SOHCのL20型エンジンを積んだモデルだ。排気量を大きくし余裕を持たせた事で大人5人を乗せた長距離の高速ドライブも余裕でこなせるGTにふさわしい性能を持っていた。

 ちなみに4ドアのGT-Rはこの2000GTをベースにしている。エンジンはレーシングカーのR380で使用されていたGR8型を市販用にデチューンしたと言われるS20型を積んでいた。

そんなC10/GC10ハコスカのお値段は?



 こちらは5年前に撮影した、群馬県にあるショップ「オートサークル」の写真。今見るとあり得ない価格だ。旧車の値段がここ数年で一気に高騰したのがわかるだろう。

 S20型エンジンを積んだGT-Rはもはや庶民には手が届かない額になっているが、そのベースとなった4ドアセダンの2000GTなら400万円前後のプライスが掲げられているものもあるので、まだ手の届く範囲といえるかもしれない。もちろん高額な事に違いないが、現行型スカイラインが450〜600万円ということを考えると買える範囲といえるのではないだろうか。

 全ての源流にいる4気筒モデルのC10スカイラインは200万円前後だ。プリンス自動車工業の開発したG15型エンジンやスカイラインに惚れて今まで維持してきた人も多く、状態が良い個体が多い。ロングノーズにこだわりがないのであれば狙い目といえるだろう。


購入できても、維持にはお金がかかる


これは海外の取材時の話だが、取材中に燃料タンクのフロート(燃料残量を計算する部品)が故障をし、ガス欠をしてしまったというトラブルに遭遇したことがある。このように旧車にトラブルはつきものなのだ。

当然40年前の車なのでメンテナンスフリーな現代のクルマと比べると不便な部分が多い。また、経年劣化で故障する箇所も出てきているので旧車と付き合うにはトラブルも覚悟しなければならないだろう。
仮に400万円で購入できても修理費がどうなるかは未知数だ。あこがれの旧車を手に入れるなら、購入費用だけでなく、その後の維持費についても十分に考えておきたい。また、修理やメンテナンスについては、各種専門店の存在が心強い。旧車を維持するためには、こうした専門店とうまく付き合っていくと良いだろう。

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text:Nostalgic Hero/編集部

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