レビン・トレノの祖先!? 「情熱的な車」というキャッチコピー、憧れのスイフトバック|68年式 カローラ・スプリンター デラックス Vol.1

       
大衆車ブームを巻き起こしたカローラだが、ファミリーカーとしての位置付けのためセダンのみのラインナップであった。そこで、開発初期に構想されていたクーペボディを、1968年にカローラ・スプリンター(KE15型)として発売することになった。

 「情熱的な車」というキャッチコピーで登場したスプリンターは、ルーフからリアに流れる曲線が美しく、カローラよりも若い層を狙ってスポーティさを前面に打ち出したイメージ戦略がとられた。そのため、スポーティグレードのSLでは、「1100cc、73馬力、最高速度160km/h、ゼロ発進→400m17.5秒、4段フロアシフト」というスペックと、「これこそハイウェイツーリング・カーだ!」というキャッチコピーでアピールしたのだ。

 今回紹介した阪上さんのスプリンターはデラックスのためスペック的にはSLより劣るが、3本スポークのステアリングや、ラジオ、ヒーター、トリップ・メーター、デフロスター、メーターコンソール下のアンダートレイ、フレッシュフロー装置などを装備する。また、68年式はヘッドレストがなく、前席をリクライニングさせ、後席の背もたれを起こすことでゆったりとくつろげるシートアレンジが可能だった。

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68年式スプリンターのウリの1つが、このフルリクライニング・シート。リアシートの背面を持ち上げることで、フロントシートと一体になり、ゆったりくつろげる空間に早変わりするスグレもの。



取材車両を保有するオーナーが手に入れたときは不調だったK型エンジンは、スプロケット、チェーン、テンショナー、ウオーターポンプを交換、調整することで快調に。ブローバイガスが開放式だったため、エアクリーナー、タペットカバー、キャブ、インマニ、インシュレーターなどはパブリカ(KP30)用に変更して還元装置付きに変更、KP39用5速ミッション(K50)を入手しているため、載せ替えを計画中だ。



カローラにスプリンターのエンブレム。カローラの2ドアクーペボディをスプリンターと呼んだ。


右側のリアウインドー後方はフレッシュフローの空気流出口になっているが、左側はフューエルリッドで、ロックを外してフタを開くと、給油口が現れる。


掲載:ノスタルジックヒーロー Vol.140 2010年8月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryo-raw Shimizu/清水良太郎

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