世界一有名なタイムマシン「デロリアン」 2

デロリアンDMC-12

ようやく姿を現したDMC‐12は、ロータス式のバックボーンフレーム後端に、プジョー/ルノー/ボルボ共同開発による2.85LのV型6気筒PRVユニットを搭載。イタリアのイタルデザイン社がデザインワークを手掛けたクーペボディを組み合わせた。この低いボディは、ガルウィング式ドアとともに、無塗装のステンレス製アウターパネルを特徴としていた。

 北アイルランドのベルファスト郊外に新たに建設した巨大工場で生産されたことから、会社の国籍はアメリカながら、開発と生産は英国。そしてデザインはイタリアという、極めて国際的なメーカーとなったデロリアンだが、その後もPRVユニットのターボ化や4ドアセダン版などの新展開も次々発表。その前途は洋々に見えた。

 ところが、DMC‐12のクオリティ問題に端を発する売り上げの激減や、北アイルランドへの工場誘致の条件として交付されていた英国政府の補助金が停止されたことで、翌82年には経営状況が一気に悪化。さらにジョン・デロリアン自身も、コカイン取引の嫌疑を懸けられて(のちに無罪の判決が下る)失脚したことから、わずか8538台のDMC‐12を製作した段階で、デロリアン夢のプロジェクトは崩壊してしまったのである。

インパネ
メーター
シート

ハチマルヒーロー 2014年11月号 Vol.26(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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