販売期間の9年間で大変化! シリーズ1の持つ思想から異なる道へ|ロータス ヨーロッパ・スペシャル Vol.2

●1974年式 ロータス ヨーロッパ・スペシャル

  実際にロータス・ヨーロッパ S(シリーズ)1をドライブしてみると、その素直なハンドリングに感銘を受けるものの、クルマとして必要最低限の質量すら削られたような軽さには危うさも感じる。

 おそらくロータスとしては新時代の軽量GTの姿を模索した結果なのだろうが、S1はミッドシップの理想を追求するあまり、乗り手も選ぶクルマになってしまった。



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 もちろん市場からのリアクションも同様で、ロータスはすぐにヨーロッパの軌道修正を迫られる。そこで生まれたのが、パワーウインドーなど快適装備を充実させ、整備性の向上も図ったS2(タイプ54/65)である。

 こうして「民主化」されたヨーロッパはよりGT色を強め、市場からは歓迎されたが、同時に増えた重量と安定志向のサスペンションセッティングにより、高次元で均衡を保っていたシャシーのきよらかさは失われてしまった。

 69年、ロータスは遅まきながらヨーロッパの対米輸出を開始する。ところが、満を持して持ち込んだヨーロッパに待っていたのは、「モアパワー」の声だった。

 そこでロータスはヨーロッパの抜本的な改良に取りかかる。その指揮をとったのは、ジャガーでV12ユニットの開発に従事したエンジニアであり、後にロータス・カーズのCEOとなるマイケル・キンバリー。

 すでに各国のライバルは2L時代に突入していたが、ロータスには手頃な手持ちのエンジンがなかったため、やや旧態化しつつあった1.6LのロータスTCを搭載することになった。


 こうして生まれたのが、ヨーロッパ・ツインカムだ。もちろんパワフルだが重いTCを搭載したことで、ヨーロッパのバランスは完全に破綻した。しかしその対策として行ったトレッドやタイヤサイズの拡大、空力パーツの追加などのモディファイは、反対にヨーロッパの商品性を高めることとなった。そう、市場はスリルを味わう限られた人のためのスポーツカーではなく、万人に向けた寛容なGTを求めていたのである。







エラン・スプリントにも搭載されたビッグバルブヘッドをもつ1558ccのDOHCユニット。

本国及びヨーロッパ仕様にはデロルト40 DHLAが、北米仕様にはエミッション対策としてゼニス・ストロンバーグ175C D2Sが組み合わされた。そのため最高出力は本国仕様の126bhpに対し、北米仕様である取材車は113bhpとなっている。

デロルト、ゼニスともに後年ウエーバーに換装された個体が多いが、取材車はオリジナルを維持。オーナーはヒートパイプなどの補器類も確保し、完全オリジナルに戻す予定だという。



掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年6月号 Vol.151(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Yoshio Fujiwara/藤原よしお photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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