エンブレムも違う! 市販されたGT-Rとプロトタイプの違いとは?|68年式 スカイライン 2000 GT東京モーターショー参考出品車レプリカ Vol.2

GT-Rとして発売される前に2000GTプロトタイプとして出品されたクルマを忠実に再現した。

       
●日産スカイライン 2000 GT 1968年東京モーターショー参考出品車レプリカ

第15回東京モーターショーで、スカイライン2000GTの参考出品車として展示された「GTプロトタイプ」は、会場で「R380エンジン搭載車」とアナウンスされていたように、後にGT-Rとして発売されるモデルだったが、実際に市販されたGT-Rとは細部に違いがあった。



はじめにお断りしておくと、今回の取材車両はGTプロトタイプの実車ではなく、レプリカ(模造車)である。ただし半端なレプリカではない。実車に使われていたパーツが装着されているところに、俄然価値があるといえる。

関連記事:市販車とは異なる赤いバッジがプロトタイプの証!|68年式 スカイライン 2000 GT東京モーターショー参考出品車レプリカ Vol.3


 車両を製作したのは、千葉県香取市にあるプリンスガレージかとり代表、香取孝さんだ。

 プリンスならびに日産系の旧車に造詣が深い香取さんだが、今回のGTプロトタイプを再現するにあたって、決定的ともいえる主要パーツを10年以上前に入手した。それはモーターショー展示車だけに付いていたアルミ製のカムカバーだ。
「NISSAN 2000」の浮き出し文字が2対ある特徴あるデザインで、その仕上がりから砂型鋳造による製作だと想像できる。

 第15回東京モーターショーの会場では、このカムカバーを装着したエンジンのうち、1機が車両に搭載され、もう1機はエンジン単体で同じ日産ブース内に展示されていた。つまり少なくとも2枚同じカムカバーが存在していたはずだ。

 では、香取さんはどのようにして、このカムカバーを手に入れたのだろう。

「旧プリンス系の日産試作工場から出た廃材を、私と友人で倉庫ごと買い取りました。その中に今回のカムカバーが入っていました。今となっては本当に貴重なパーツを手に入れたことで、いつかはGTプロトタイプを再現したいと思っていましたが、ようやく形にできて、満足しています」

 長野県岡谷市にあるプリンス&スカイライン・ミュウジアムに展示されていたので、実車を目にした方もいるのではないだろうか。GT-R伝説の「語り部」として希少な存在といえるだろう。




GTプロトタイプでは、前後にL20型エンジン搭載の「2000GT」のエンブレムをそのままに、ベースを青から赤に塗色変更したエンブレムが取り付けられていた。そう、参考出品された時点では、GT-Rではなく、GTプロトタイプだったのだ。




当時の資料を調べると、GTプロトタイプの段階で、すでにPGC10スカイライン2000GT-Rの内装の仕様がほぼ盛り込まれていたようだ。タコメーターは1万rpmまで刻まれ、スピードメーターも240km/hまで表示。そしてラジオと時計の場所には蓋がつき、空調レバーは付いていなかったところが実車と異なる。




前席はバケットシートを装着。




後席はブラックのビニールレザーシートだ。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年2月号 Vol.149(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo : Takashi Akamatsu/赤松 孝

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