E21 BMW 323iをベースとしたアルピナのコンプリートマシン 1

81年式BMWアルピナC1 2.3

アルピナ創成期の佳作

 1960年代のモータースポーツシーンでは、現代でも活躍しているチューニングメーカーたちの台頭がドイツ国内にて見られるようになっていた。その代表格として挙げるべきが、65年に創業されたアルピナ。それまで自身の趣味としてBMW各モデルのチューンを行っていたブルカルト・ボーフェンジーペンが設立したアルピナは、創業とほぼ時を同じくしてBMW公認チューナーの地位を獲得。高性能かつ高品質なチューニングパーツの製造・販売を手掛ける一方で、70年代初頭にはBMW本社の準ワークス格の地位を授けられ、欧州ツーリングカー選手権(ETC)を席巻した3.0CSLの開発にも関与した。

 しかし順風満帆に見えたアルピナは、3.0CSLとともにETC選手権でコンストラクターズタイトルを獲得した77年シーズンをもってレース活動を休止する。さらに創業時から同社を支えていたチューニングパーツ製造からも撤退。新たなるステージに駆け上ることになったのだ。アルピナの新たなチャレンジとは、コンプリートカーの製造。78年秋にデビューしたB6‐2.8、B7ターボ、そしてB7ターボ・クーペを皮切りに、チューニングカーメーカーとして名乗りを上げることになったのだ。

 今回の主役であるC1‐2・3は、80年に登場したBMWアルピナのエントリーモデル。先に登場したB6‐2.8と同じく、当時としては先進的なデジタル式イグニッションやマーレ社製の鍛造ピストンなど、贅沢なメカニズムが投入されている。排気量こそベース車であるBMW323iと同じ2315ccで、2.8Lまで拡大されていたB6に比べれば小さいが、それでもパワーは170ps。ゲトラーク社製5速MTを組み合せ、208km/hの最高速を発揮した。

 また当然ながら、シャシーも充分に煮詰められていた。非線形スプリングにビルシュタイン社製ガス封入ダンパー、4輪ベンチレーテッド・ディスクブレーキ、超偏平のピレリP7タイヤなど当時の最新技術を導入し、持ち前の高性能に対応していたのである。







ハチマルヒーロー 2015年1月号 Vol.27(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Kazuhisa Masuda/益田和久

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